CLIP STUDIOにおける3DCG需要〜こんな素材を売ってください編〜【3D屋さん向け・絵描き視点】

先日、あるつぶやきに反応をいただきました。
いただいたコメントがこちら。

言われてみれば確かに絵描きの需要はわかりにくいかも。
そんなわけで、今回は絵描き視点で「こういう3Dアイテムがほしい!!」という記事を作ってみました。

今後さらにアイテムを登録してくれる人が増えることを願って、
いくつか CLIP STUDIO利用者(=絵描き)側から見た3D需要について綴ってみたいと思います。

(ちなみに購入されて溜まった「コンテンツCLIPPY」は
現金には出来ませんが毎月2万円分まで商品券にできます。これも後述。)

CLIP STUDIOで3DCGは売れるのか

まず CLIP STUDIOで3DCGがダウンロードされる理由は
「購入したアイテムがすぐに作品に投入できる」ことだと思っています。

購入した新規アイテムは、ダウンロードが完了したら作業中のCLIP STUDIO PAINTの素材ウィンドウに自動で入ります。
ダウンロードフォルダから引っ張ってこなくても良い! 便利!!

もちろんBOOTHなど外部で売られている3DCGも使えますが、
個人的にはCLIP STUDIOの方が素材を探しやすいのでこちらを使います。

私がBOOTHの利用に積極的でない理由は、

・CLIP STUDIOで同時に売られているアイテムもある
 (二重購入しそうになる)

・「素材だけ」を探すのが難しい
 (同人誌等の関係ない商品がどうしても引っかかってしまう)

・利用規約がクリエイターごとに設定されてしまっている
 (目を通すのが大変・良い素材を見つけても商用NGが意外とある)

・権利がクリアなものか瞬時に判断が難しい
 (二次創作の3Dモデルもある)

…とか色々です。
特に、商業で誤って二次創作素材を使ってしまうのはヤバいので…

CLIP STUDIOはこのあたりが安心して使えるようになっているため、利用者側としては大変助かります。
(ただ 売り手としてはBOOTHのほうに軍配が上がりそうですが…手数料とか)

ですので、絵描きからすると

既に他で販売している3DCGがある場合はぜひCLIP STUDIOにも登録してほしい
ということになります。

ただ、もしかすると複数同時販売がNGなサービスもあるかもしれないので確認してください。
(CLIP STUDIOとBOOTHは両方で同じ素材を有料販売されているのを見かけるので大丈夫そう?)

絵描きがCLIP STUDIOで3DCGを使う理由

時短です。
生物や自然物はともかく、細々とした背景は3DCGを使うほうが圧倒的に早いです。

特に作画速度が求められる漫画の場合は
「1から描くよりも出来合いの3DCGを利用して
部分修正して完成させたほうが早い」
となる場合が多いです。
(いちから描くとパースの補助線を取ることから始める場合もあるので)

もちろん「欲しい画と違う部分」は少ないほうがより楽なのですが、
現在のCLIP STUDIOは 登録されているアイテムの種類はまだしも
デザインのパターンが豊富とは言えないので、
これから参入しても売れ筋はたくさんあるように思われます。

例えばパターンの少なさについてはこれ。
先日仕事で描く必要があったカップ麺の3DCGを探したのですが…

少ない…!!

しかも、某ヌードルのような縦長が欲しかったのにない…!!

ここにもし某ヌードル型のカップがあればそちらを購入していたのは間違いありません。
こういうことが頻繁にあるので、CLIP STUDIOでの3D素材はまだまだ売り手市場だと思っています。

なお 今回は真ん中の「カップめん4種類」を使わせていただきましたが、
線画抽出もきれいにでき、蓋の開き具合もそのまま絵になる素晴らしいアイテムでした。
微妙なパターン違いがいくつか入っているだけで購買意欲がぐんっとそそられます。

どういうアイテムが売れるのか

先ほどのカップ麺のように、
すでに存在しているように見える素材でも別のパターンに需要が残っていたり
デザイン違いが求められているものもあります。

例えば、これまた別の仕事でタクシーを作画する必要があった時。

「普通のタクシー」はきっとありますよね。
でも描きたいのはイギリスのロンドンタクシー。(ブラックキャブ)
車内含め7コマくらい描くので、できれば3Dで時短したい…

せめて類似の形状の車があれば…

無い。終了。

ちなみにBOOTHにもありませんでした。
結局この時は3DCGは一切使わず、全部手描きで対応しました。

なにも実物と完全一致である必要はないんですが、
「車」「cab」等で検索してもしっくり来る形状はありませんでした。
少しニッチな要望だったので、仕方ありませんが…

ただ、車で言うならば車体そのものではなくとも
タイヤのデザインはもっと種類がほしいなというのが本音です。

スポーツカーとかロールス・○イスとかに履かせるような
おしゃれホイールがCLIP STUDIOには少ないので、
複数種類をバンドルしたものがあるととっても嬉しいですね。

違和感なく車に履かせて2D化することは割と簡単にできますので、
車まるごとのデータである必要はないです。

すげ替えできるパーツがあれば多くの絵描きが救われることでしょう…

どうしたら売れるか

末席の絵描きに明確な答えは出せませんので、
代わりに「れだと買いやすい」と思うものをいくつか挙げます。

内容物はすべてサムネイルに入れる

先日購入していた「カップめん4種類」ですが、
実はその右横の「スーパーラーメンセット」に

欲しかった「縦長のカップ麺」の3DCGが同梱されていました。

しかも良クオリティ。
でも買えませんでした。

基本的に3DCGを探すのは時間に限りがある作業中なので、

サムネイルにないものは目に止まりません。

サムネイルに入りきらない分は他でまとめるか、バラ売りにしたほうが良いかもしれない。

GOLD販売”も”する

自分で素材を作って販売しないタイプの絵描きにとって、支払いに使えるマイCLIPPYは
GOLD会員に毎月支給される1,980CP(継続ボーナス込み)しかありません。

つまり、さっきのヌードル型カップの 2万CLIPPY はとても手が届きません。

趣味で描いていた頃は貯まる一方で 7万CP以上持っていたはずですが
今は枯渇どころじゃないです。今月もさっそく使い切った。ひもじぃ。

そして「GOLD販売がないために買えない素材」が出てくるわけです。
こうなったら無料素材か、GOLDで買える素材に流れていきます。

たとえCLIPPY販売の方により適した素材があったとしても
買えないんだから仕方がない。

1万円で10万CPが買えたら良いのに…
このようにCLIPPYが枯渇する人種もいるので、有償素材はGOLDでも売ってほしいです。

とはいえ、趣味で描いていた頃はひたすらCLIPPYが溜まっていた
(≒ほとんどの趣味絵描きは使いきれず持て余すだろう)こと、
自ら人気素材を販売しているタイプの絵描きは数十万のCP資産があることを考えると
よほどの理由がない限りはGOLD販売 “のみ” にはしないほうが良いかもしれません。

GOLD販売のみにする理由としては、
例えばコンテンツCLIPPYは毎月20万CPを2万円分の商品券にできるのですが、
人気素材をたくさん売っていると毎月支出(20万CP)よりも収入が多くなり持て余すため
仕方なくGOLD販売オンリーにするとかそんな感じらしい。

またはCLIPPY側の価格を高く設定して、
GOLD側を安くして買ってもらいやすくするとかもよく見かけます。
50G/1500CP みたいなやつですね。

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※追記※
GOLD販売は
【利用にあたっての申し込み】【各素材の登録】時にそれぞれ審査があります。
面倒な手順を踏む必要がありますが、GOLDでしか買えない層もいますので
より多く売るためにも 利用を検討していただけると嬉しいです。

個人的にも GOLD素材は審査を経ているだけあって
クオリティがきちんと担保されていると感じます。
購入して後悔したこともないので安心。
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価格は抑えてより多く売る・即決しやすい要素を入れる

いいなと思った素材が安いと、まだ見ていない検索結果があっても即決することがあります。
GOLD素材を人気順で見ても、数十〜数百GOLDで販売されているものが上位に来ます。

また、安くて良い素材は「ひとまず買っとく」法則が発動しやすいのもあります。
その時はたまたま目についただけだったとしても、
あとで必要になった時に探し直すのは面倒臭いので「100円ならいいかな」と思って買ってしまう。

そして「値段」の他にも即決しやすいと感じる要素があるといいですね。
個人的にはこういう素材がありがたいです。

①基本的な形状で、日常やファンタジー作品に頻出と思われるもの

シンプルなアイテムは加筆で自由に発展させやすく、取り回しがしやすいです。
そのまま使っても悪目立ちしないデザインも漫画背景では重宝します。

②そのアイテムを描くなら絶対に使いたいと思うくらい利便性に優れたもの

動物に限らず、可動パーツをプリセットで動かせる素材は特にありがたいです!

動物の3DCGはイラストの中でバランスをみるのに役立っています。
1枚絵の場合はラフの段階で何度も構図を見直すことが多いので、
ここで3DCGをグリグリ動かして構図を探ることがあります。

そして漫画ではぬいぐるみが大量にある部屋などを描くこともありますから、
3DCGを要所に設置して線画抽出ができるとかなりの時短になります。

デスクセットやドアは一緒に入っている観葉植物や本だけを抜き出して使ったり、
線画抽出した取っ手部分のみ使ったりしています。便利。

デザイン的にちょうどいい取っ手や植物のみの素材が存在していないとも言う。

③時代や国柄を感じさせる装飾・アイテム

先述のロンドンタクシーもこちらに含まれます。ないけど!

装飾については、とにかくファンタジー含む西洋の素材が足りません。
立体的な彫刻がされた柱や天井など…

例えば手持ちの資料から引用すると、

こういうのが足りないわけです

シャンデリアとか燭台は既にいろんなデザインがあるんですが、
壁のオーナメントや天井の飾り彫りに使えそうな3DCGはほとんどない…

3D屋さんは普段からこういうものも作っていると思うのですが
CLIP STUDIOでは殆ど見かけません。

パースに合わせて絵に落とし込むのはこちらでやるので、誰か販売してください…
線に手を加えれば本の表紙とかドアの装飾にも使い回せるので、とっても便利なはず。

番外編 〜こうなっていると嬉しい仕様や設定〜

最後に「個人的にはこうなっていると嬉しいなー」と思う内容や設定を上げていきます。
好みの部分もあると思いますので、いち背景描きの意見として参考までにどうぞ。

①各オブジェクトが独立している

例えば椅子と机がセットになっている3Dならば別々に動かしたり消せる方が良いですね。
「机はこっち、椅子は他の3DCGを使う」ということもできるので嬉しい

あと、漫画では手前の壁や床、天井を無視した描画がよくあります。
クリップスタジオは「3Dを選択してツールプロパティ」→「レンダリング設定」→「ニアプレーン」の数値をいじることで画面の手前部分を隠すことはできるのですが、割とコツがいるので部屋の6面のオン/オフは切り替えられる方がありがたいです。

②オブジェクトプロパティの設定は3箇所

多分CLIP STUDIO MODELERやPAINTで読み込んでから設定する内容だと思うんですが、
取得したアイテムによってこの辺の設定がまちまちなので
「最初からこうなっていると嬉しい」という設定を3箇所ほど。

素材購入時にこの設定になっているとむせび泣きます。

【光源の影響を受ける】をON

ちなみにOFFだとこうなります。

人体くらい複雑な形状なら良いのですが、
スマホのようなアイテムはパッと見で前面・背面の区別がつかなくなります。

あとは【影】はOFF、【輪郭線幅】もOFFでOK。

影については下の画像のような人物の足元につく影のことで、
輪郭線幅はCGの輪郭につく線のことです。

(設定にもよりますが)影は線画抽出時に影まで抽出されてしまうこと、
輪郭線は下書きに合わせて変形する際に単純に邪魔というのが理由です(身も蓋もない)

おわりに

個人的にはよほど現世で善行を積む必要にかられていない限りは
3D素材はすべて有料販売でも良いとさえ思っています。
さすがに10GOLDや10CPさえも支払うことが憚られる素材はないと思うので…

同じクリエイターとして、良いものにはきちんとお金を落としたい思いもあります。
ぜひ、気軽に作った習作から渾身の一品までCLIP STUDIOに登録してみてください。

そして有償ならば必ずGOLD販売にも登録してください。
それだけが私の願いです(残高105CP)

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