
※先に「水平線」「一点透視図法」の記事を読んでいる方向けの内容となっています。
過去記事はこちら。
二点透視図法
二点透視図法は詳しい理屈を理解するのはものすごく難しいのですが、ざっくり説明すると以下の2つのケースに分けられます。
①二つの消失点がお互いに同じくらい画面から離れている時
②二つの消失点の一方がかなり画面に近い時
いずれの場合も実務においてはこのくらいの認識で大丈夫だとは思いますが、より詳しい理屈を知りたい人はデヴィッド・チェルシー著「パース!」を参照してみてください。
幾何学に片足突っ込んだ説明が難しいのであんまりおすすめはしませんが…。
(レビューで「パースの変態の本」と言ってる人がいるけど その通りだと思う)
二つの消失点がお互いに同じくらい画面から離れている時
まず、描画する範囲(画面)が二点の消失点のちょうど中間にある場合です。

この場合、二つの消失点同士の距離は画面の長辺の長さの3〜4倍以上の長さになるように設定します。(つまり縦長のコマなら高さの線、横長のコマなら横の線の3〜4倍にする)

このケースでは点同士の距離がこれよりも近くなるほど画面内のパースはきつくなり、歪んで見えます。
例えば画面の両端付近に設定した場合はこのようになります。

真ん中の箱は縦に潰れて、右の箱に至っては描画範囲を超えてしまっています。

二つの消失点の一方がかなり画面に近い時
先ほどとは異なり、画像のように二つのうち一つの消失点が画面に近い位置にある時、もう一個の消失点は画面から遠いところに置くようにします。

明確な基準はありませんが、一方の消失点が画面に近くなればなるほど、もう一方の消失点ははるか遠くへ追いやられるイメージです。

画像では消失点Aが近づくほど消失点Bを遠くに設定しています。
もしも画面のすぐ側に消失点Aがあるならば、消失点Bは限りなく遠くに設定されます。
つまり、一点透視図法の見え方に近くなるということです。
消失点Aが画面のすぐ近くにある状態で消失点Bも近くに設定してしまうと、先ほどの「描画範囲を超えた箱」のように絵が歪みます。
二点透視図法で画面内の歪みを抑えたい場合、二つの消失点は十分に離れた距離に設定しなければいけません。
また、十分に距離をとった場合であっても、このケースでは遠い方の消失点に近づくほどパースが歪みます。
先ほどの「二点の距離が同じくらい離れている」ケースでは消失点同士の距離が近づくほど画面が歪んでいましたが、「一方の消失点が近い」ケースでは遠い方の消失点に近づくほど画面が歪むのです。

この違いの理由を知るには「パース!」にて「視円錐」と「視心」の概念を知る必要がありますが、そこまでしなくても上記のルールに則るだけで十分です。
そして最後にもう一つ意識するべき点があります。
いずれのケースでも、二点透視図では消失点に挟まれた範囲外に描画した絵は歪みます。
ですので、二点(三点)透視図の場合は一点透視図のように画面内に消失点が入ることはありません。
どうしても画面内に消失点を入れたい場合は、歪みをごまかすために手前に物や壁を描いてほとんど隠してしまうか、一点透視図法に切り替えるほうが無難です。


ちなみに下の背景イラストは今回のアイキャッチ画像なのですが、どこか窮屈というか歪んだ絵に見えませんか?

これがまさに「一方の消失点を画面内に入れてしまった二点透視図」です。

これは10年くらい前に初めてパースを用いて描いた背景なのですが、
二点間に十分な距離をとらず、一方の消失点が画面内にあるというNGまみれな消失点設定だったためいい絵にはなりませんでした。
基本的なパースの知識だけではこういう失敗をしてしまうため、コツを抑えておくことは大切です。
三点透視図法
二点透視の説明でうんざりした方もいるかも知れませんが、最後の三つ目の消失点の置き方のコツはかなり単純(というか感覚頼り)です。
まず、水平線上にある二点までは二点透視図法の方法で位置を決めます。
今回は二点間の距離を同じくらいのケースにしてみました。

そして三点目は画面の中心からはるか上、または下のかなり深い位置に設定します。
設定したあとは高さの線が理想の角度になるように点の位置を左右にずらしてください。

ただし一点だけ念頭に置いておくべきことがあります。
3点透視が有効なのはアオリ・俯瞰の構図だけだということです。
つまり、水平線の説明記事で言うところの「通常の視点の場合」のように、水平線が画面の中央付近にあるときは無闇に縦の線には角度をつけず、二点透視図にしたほうが無難です。
三つ目の消失点は高さの線が消える点なので、横から見た視点(一〜二点透視)では上か下のどちらか一方だけにすぼむ線があると不自然に見えてしまうのです。

逆に、水平線が画面の上にある俯瞰や、下にあるアオリのときは三点透視で高さに角度をつけるとより画面にインパクトが出せます。
このとき三つ目の消失点は俯瞰では画面の下に、アオリでは画面の上に来ます。
インパクトを出すことが目的なら、三つ目の点はかなり画面に近づけてもOKです。


おわりに
ざっくりと水平線・消失点の設定方法を説明しました。
実務においてはこのくらいふわっとした認識でも大丈夫だったりします。
より詳しく知りたい人は「パース!」をあたってもよいのですが、それよりは描く枚数を重ねたり、3DCGでアタリを取る習慣をつけるほうがよりパース感覚が身につくと思います。
3DCGが歪んでいるけど理由がわからない時や、パース定規を使って描いてみたけど画面が窮屈に見えるような時があれば一連の記事が参考になりましたら幸いです。





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