キャラクターの顔をバランスよく描く方法(※初心者向け)

おはようございます! みつき屋です。

今回は初心者向けと題して
「キャラクターの顔をバランスよく描く方法」を紹介します。

「キャラクターの顔をバランスよく描けるか」というのは漫画・イラストを問わず全てのキャラクター描画で必須の技能です。

ところが、顔は描く機会が多いにもかかわらず、「変じゃない」ものを描けるようになるには相当な時間をイラストに裂くか、才能に恵まれるか、はたまた自分の画風に合ったコツ(ガイド線の引き方など)が必要になります。

今回紹介するのは、有名なA・ルーミスの「頭部の組み立て方」を元に、日本的なデフォルメイラストにも対応しやすくしたパーツの描き方です。

最終的な仕上がりはラフでしっかりバランスが取れているかどうかに大きく影響を受けるので、ラフから気を抜かずに頑張りましょう!!

ボールを描こう!

まずは頭部の大きさの目安となる円を描きます。

円を描きます。慣れてきたら上半分の円弧は実際の頭蓋骨の形を意識しても良いでしょう。(純粋な円よりも髪の生え際などが意識しやすくなります)

この円はイラストやコマの中での絶対的な大きさの指標となります。
つまり、より画面の近くに立っている人物の円は、奥にいる人物の円よりも大きく描く必要があります。同じ位置でも巨人は大きく、小人は小さく描きます。
(ただし大人と子供では頭の大きさにほとんど差がないので、年齢によって大げさに差をつける必要はありません。)

きれいな正円である必要はありませんが、見るからに楕円にはならないように注意します。

どのくらいの大きさにして良いかわからない場合は、
キャラクターのこめかみ〜頭蓋骨のてっぺんまでの高さを意識した円弧を描き、
それから円に見えるように下半分を描き足します。

十字線で人物が向いている方向を決めよう!

十字線で円を分割して人物の向きを定めます。

十字線は自分で見てわかる程度に引けていれば大丈夫。

このとき、ボールを正確に4等分する線である必要はありません。
「自分で仕上がりがイメージできる線」なら大丈夫です。

横線は目の中央あたりを通る位置に、
縦線は顔を半分にする位置にひきます。

目玉の位置に丸を描こう!

今回の講座の一番の肝はここです。

中にはアタリなしで素晴らしい絵を描く人もいますが、そういった方は既におびただしい枚数のイラストを描いてきています。補助線はいわば自転車に上手く乗れるようになるまでの補助輪です。

先ほど引いた横線の上、目を描きたい位置に丸を描きます。
手前にある目のアタリが奥の目のアタリよりも小さくならないようにします。
(ここでサイズ感が違ってしまうと後々に響きますので、よーく見ましょう!)

目のアタリも年齢によって差をつける必要はありません。
一般に言われる「目の大きさ」というのは眼球自体の大きさではなく、まぶたの開き具合によるものです。

これで人の頭に見えるお団子ができました。
頭の中にあるキャラクターと、頭の大きさ、顔の角度、目の位置が一致しているかイメージしてみて、大丈夫たと感じたら次に進みます。

簡単な工程に見えますが、このアタリをおろそかにしてしまうと仕上がりに大きく差がでてしまいます。

最終的に納得いく絵を描くためにも、ラフの段階でイメージとアタリのすり合わせはしっかり行っておきましょう!

ここでちゃんとバランスがとれていれば、これまでよりも上手くかけて自信がつきますよ!

あごを生やして耳をつけ、眉を描く

ここで不自然な頭部に見えてしまうと最後まで不自然な絵になってしまいます…

あご

横線と円の交差点の位置から、下に向かってあごを生やします。

顎の長さは年齢によって大きく差が出ます。
赤ちゃんはほぼ円に近く、歳を取るほど長くなります。

今回は20代の女性をイメージしているので成人の長さにしています。
また、成人男性のあごは女性よりも少し四角くすると手軽に男性っぽさを出せます。
(前回の記事のキャッチイラストがおじさんなので、よければ参考にしてみてください)

正面顔では、耳の高さが左右で同じになるように気をつけます。
(ちなみに耳の上の付け根は、目尻の線の延長線上にあります。
実際に自分の目尻から耳に向かってまっすぐ指を滑らせてみてください)

そして斜め〜横顔の場合は、
耳はデフォルメが強い(≒頭身が低い)タッチほど目に近く
デフォルメが弱い(≒頭身が高い)タッチほど目から離れた位置に描きます。

(リアルの人の横顔をよく見ると、思っているよりも目と耳が離れた位置にあることがわかります)

耳の位置はタッチによっても大きく分かれるところですが、
離す場合でも「耳の付け根の位置」は「頭部の円を縦に4等分する線(上画像参照)」よりも後ろに来ることはありません。
その位置か、それよりももっと目に近い位置に描きます。

眉は目の円の上にバランスよく置きましょう。
(目の線にかぶらないように注意!)

眉は不思議なパーツで、リアルとイラストでは位置によって受ける印象が大きく変わります。

イラストでは、
眉を眼よりも高い位置に描くほど幼く、コミカルな印象になります。
逆に眼球に近い位置に書くと老けて見え、キリッとした印象になります。

下の線画を見比べてみましょう。

(※逆にリアルでは眉が近いほど若く見え、
離れるほど老けて間が抜けたような印象になります)

このように、頭部と目の大きさは年齢では大きく変わりませんでしたが、ここ(あごと耳と眉)でキャラクターの印象に大きく差がつきます。

あご・耳・眉の位置はルーミスの本ではもっと複雑に示されていて、正直感覚を掴むのが難しい部分ではあります。
特に、ルーミスはリアル人物用の文法なので、日本的なデフォルメにはそのまま当てはまりません。

より理解するには、試しに自分の好きなイラストレーターさんの絵の上に、ここまでの補助線を引いてみるのが良いかと思います。

目と鼻と口を描く

これがラフ(アタリ)の最終段階になります。

先に描いた目のアタリの中に、まず必ず下まぶたを描きます。
下まぶたはどんな表情でも大きく位置が変わらないので、左右の高さをきっちりと揃えましょう。
この高さが違うと途端にデッサンが狂った顔になってしまいます。

上まぶたについても、左右で同じくらいの見開きの場合は高さを揃えます。

目の大きさ(まぶたの高さ)は若いほどアタリの円に等しく丸く、
老けているほど細く長く描きます。

目を細めたり、伏せたりするとこのような線になります。球に沿う線をイメージします。

目玉は球であり、
まぶたの線は、あくまでも目玉という球を覆う蓋(立体の円の上を這う円弧)だということをイメージしながら、カーブを描きます。
(初心者向けと言いつつ説明が難しいのですが、漫画的なイラストであっても、ある程度立体をイメージして描くことは上達の近道となってくれます。)

鼻はデフォルメによって形も位置も大きく変わります。
また、顔の角度やタッチによっても「適切に感じる」位置が違います。
なので、残念ながらこれに関しては私もいまだに「こうすればOK」という技法を見つけることができていません。

一応押さえておきたい点としては、以下の2点となります。

正面顔の場合はそのまま縦線の上に鼻を置きます。
横顔の場合の鼻は、「ラフの横線と縦線の交差するあたり」から下に向かうにつれて鼻が高くなって(盛り上がって)いきます。

一応リアルでは目尻の線の延長がほぼ鼻の一番低いところになるのですが、
デフォルメでは必ずしも適切な位置とは限らないのが難点です。

みつき屋ではひとまずその通りに書いてから、投げ縄ツールで囲って適切に感じる位置に鼻のパーツを移動…という方法も使います。

ペン入れまで済んでから変えたくなることもよくあります。

口を描く際に意識しておきたいのは、口の線は必ず中央線を通るということです。

正面顔では、片方の口角だけを上げている場合を除き、左右の口角の高さがほとんど一緒で、かつ左右の長さが同じになることを意識します。

斜め顔の場合は奥の側の線を短くしますが、中央線は必ず通るようにしましょう。
また、ここで奥の線を長くしてしまうと、口を突き出したような表情になってしまいます。

左の口を少し左にずらしただけで、口を突き出しているようになってしまっています。(こちらの方が現実の見え方には近いものの、デフォルメでは違和感が強くなります。)
右の口も少しずらしただけですが、違和感が生まれています。

また、中央線を通らずに口の全体を手前側に持ってきてしまうと、余程デフォルメの強いタッチでない限り、口がずれたような顔になります。

中央線よりも手前に口を持ってきた場合。ただし、デフォルメの強いイラストではこちらの方が可愛く見えることもあります。
右のイラストの口は今度は左に移動しましたが、やはり真ん中でないと違和感がありますね。

これまでの補助線のおかげで十分なとっかかりは得られているはずです。
頑張りましょう!

髪を生やす(かつらをかぶせる)

髪の毛を描きます。

ラフ段階では髪型のイメージとバランスを掴めばOK

下書きではつむじと毛流れをイメージして描くのですが、ラフの段階ではそこまで難しく考えずにブロック単位で考えます。

ここで区分けしておくと下書きで迷いません

前髪のブロック、てっぺんから右側のブロック、左側のブロックの3つです。
つむじと分け目の線で区分けしましょう

面倒に感じるかもしれませんが、下書きで毛流れをイメージするためにも絶対に必要なステップです。

また、首もここで描いてしまいます。
首は女性は細くすらっとした線を、
男性は太く、喉仏や胸鎖乳突筋を強調した凸凹を描きます。

今回は顔の記事なので鎖骨と僧帽筋には触れませんが、首・鎖骨・僧帽筋は体のバランスを取るのに重要なパーツです。ここが崩れてしまうと全身のバランスが上手にとれません!

ラフの線を9%にして下書きを描く

これでラフは完了です!!

これまでの工程のすべてにおいて、ラフでは「上手く描く」のではなく、とにかく「バランスを取る」ことに専念してください。

このくらいまで描けたら、線の不透明度を9%にして下書きを始めます。
濃さは液晶にも左右されるので、環境に合わせてアタリが程よく見える濃度に調整してください。

下書き完成

下書きはラフという補助線を元に「描く」作業。ラフは描くというよりも「土台を組み立てる」感覚に近いです。

アタリが上手くできていれば、下書きは割とすんなりと描くことができます。

逆に、上手い人のフリをしてアタリをササーっと済ませているとぜんっぜん描けなかったりします。
(上手い人のラフは、(たとえ私たちの目には雑なように映ったとしても)実際にはものすごく考え抜かれた上で描かれています。)

自分では上手く描けたつもりでも、上手い人から見るとツッコミどころ満載なラフでした!ということはよくあるので、下書きを何度も書き直すハメになりそうな場合はいっそラフから見直しましょう。大抵その方が早いです。

顔のパーツの位置はほぼラフに準じますが、
ブロックで捉えていた髪はここで毛流れをイメージした束として描きます。

まず好きな位置につむじを置いて、つむじと生え際、分かれ目から伸びる放物線を描くイメージです。

今回は頭のてっぺんにつむじを置いています。
前髪はフロントに流れる房、左右の髪は生え側と分かれ目(おでこや頭のてっぺん)から流れる房です。

特に、初めて描く髪型は積極的に写真資料を参考にしましょう。
ラフで書いた印象に近い髪型をネットで探して、どこから生えてどのように流れるかを参考にします。
柔らかく揺れるものは難しいので、資料に当たるのは大事なことです。
写真の構図をそのまま使ってしまうと著作権の侵害になる恐れがありますが、
ラフでイメージを掴んでいればパクリ絵になることはほぼありません。

今回のイラストでは、マール社「だらっとしたポーズカタログ」のモデルさんの髪型を参考にしました。

下書きの線を11%にしてペン入れを開始

今度は下書きの濃度を11%にしてペン入れに移ります。
ラフの時は線が多いので9%でしたが、下書きは線が減っているので濃い目にします。

余談ですが、みつき屋がクライアント様に提出する「ラフ」はおおよそこの段階まで書いたものになります。(実際には下書きの段階まで書いたものということです。)

ペン入れ完成

このとき、髪がまぶたや眉にかかる髪型の場合は
髪のペン入れレイヤーは別に作りましょう。

髪が肩などにかかる場合も同様です。

こうすることで、表情に修正依頼が入った時も容易に修正が行えます。
同じレイヤーに描いてしまうと、髪の線を消さないように細心の注意を払って眉を消す羽目になってしまいます。

また、ペン入れにはベクターレイヤーを使います。
ベクター消しゴムを使うとはみ出した線を綺麗に消すことができるので、ペン入れはほぼこれ一択です。

髪のレイヤーを100%、顔のレイヤーを50%の不透明度にしています。

ちなみに、今回の4Kサイズ(3840*2160)のキャンバスでは、
ラフからペン入れまでみつき屋では17pxのペンを使っています。
(筆圧で太さが変わるペン)

よー清水さんの「「キャラの背景」描き方教室」という書籍についてくる「S-Pen」ブラシを調整して使っています。
塗りなどで他に使っているブラシも、ほとんどこの書籍のものです。

ブラシの設定は特に初心者がつまづきやすいポイントなので、最初からプロと同じものを使うことをお勧めします。

諸々を設定する時間を省くことができますし、なにより同じブラシを使ってプロと同じ表現ができるように練習することで、「上手な筆の運び方(タッチの付け方)」が身につきます。(特にカラーイラスト)

技法書としても大変な良書です。
CLIP STUDIOを使っていて「塗り」についての本を一冊買うなら、まずはこちらから。
厚塗りができると背景の描写の幅も広がりますよ。

ペン入れ完成!!

カラー・モノクロ共に使える線画ができました。

カラー漫画の場合は、あまり強弱のつかない線の方が馴染みが良くなります。
(線の色を変える前提のイラストの場合はこの限りではありません)
なお、モノクロ漫画の場合は逆に線に強弱をつける方が絵にメリハリが出ます。

今回はカラーイラストですので、このままの線を使います。

線画のはみ出しを消す

下画像の赤丸部分のようなはみ出しを消します。
既に消されている紐の下の肩の線もそうですが、最初からはみ出さないように描くのではなく、はみ出した後で消す方が早く綺麗な線を描けます。

余分な線を消したのがこちらです。↓

色の塗り分けと影・光の着色

それぞれの色のレイヤーを作って色分けします。
今回はバランスよく描く方法なので、カラーの説明はざっくりです!

続いて影や光を塗っていきます。各色分けレイヤーの上に新規レイヤーを作り、「下のレイヤーでクリッピング」をして描き足していきます。
色ごとに分けておくことで、万が一後で色の修正が入っても比較的対応がしやすくなります。
(対応しやすいとは言っても、ベースから影・光の色まで全て作り直すのでなかなかの労力ですが…!)

なお、着色にあたって左の髪の毛、右の肩紐の位置が気になったので線画から修正しています。
塗り分けイラストと着色イラストの違いを比べてみましょう!

背景や書き文字、効果を入れて完成!!

背景を作り、人物関連の描画レイヤーを全部入れたフォルダに「境界効果」をつけて、人物にフチをつけます。
(photoshopで描いていた頃はこのフチは面倒でしたが…ワンポチでできちゃうCLIP STUDIOはすばらしいですね。)

終わりに

絵は「こうすれば上手くいくかな?」と常に意識しながら描くほど上手くなります。
そして、たとえ上手く描けなくても途中で投げ出さずに最後まで描いて完成させることです。

完成した作品が多いほど、成長を強く感じ取ることができるようになります。

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